人気ブログランキング | 話題のタグを見る

武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり

漫画の感想である。いや、恐れ入った
シグルイ 南條範夫原作・山口貴由作の時代劇漫画

友人が、貸して欲しいと頼んでいた別の作品の抱き合わせで持ってきたのだが。
久々に言葉の使い方に感銘した。
もとより、この作者、ほかよりズレてる観念を、当然のように描くことでは他の追随を許さないのだが。
この一説が、脳髄にきた。

「封建社会の完成形は、少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」

ここまで、簡潔にかつ的確に武士道とは、忠義とは、を現した言葉もあるまい。
表題の、「葉隠」の一説を大変判りやすく示してくれる。

愚鈍な主君より無理難題を押し付けられる。
拒めば不忠で、死。
能わずば無能で、死。
ならば、選ぶは至極簡単。
いまひとつ、選択肢が。
主君の暴挙を諌め、死を以って直言、還元。
コレならばお家への忠義として、残された者の記憶に深く残り己の面目も保たれる。

面目とは、すなわちマゾヒズムである。
残された家族も、
「父上は命をもって殿の暴挙を止めたのです。誇りに思いなさい」
で納得できる。
後に暗君が廃され、新君がたったとき、生きながらえた者たちの嘆願によって名誉回復、家名と禄も戻るかも知れない。
死した者の命の上に成り立っている社会では、そうせねば寝覚めが悪い。化けて出る。

しかし、ひとつ引っかかることが。
江戸中期より大名とはすでに鉢植えの存在であった。
有能であれば江戸表の幕府の要職につくため、国許は家老職にまかせっきり。
家老たちもお家がなくなっては一大事だから、養子を迎え、なんとか存続させる。
できれば、主君には藩政に関わらないで頂きたい。面倒くさいから。
いざとなったら、「ご乱心」で殺害あるいは監禁。
多少目の開いている主君なら、見て見ぬふりでやりすごす。
より有能なら、江戸から帰ってる暇なし。

なんか似てるな~。なんだろうな~。
あ~、大臣と官僚か~。
あと、出向組とか。

「社員道と云ふは、社内の居場所を見つけたり」

以上、最近、大手販売店からの出向社員みたいな扱いの男でした・・・・・・。
by umezo-cyclista | 2006-05-01 22:54 | 日々
<< GW 練習 >>